戦場とは、まな板であり、鍋であり、釜であり、窯である。


「あははははははあは!!!しねしねしねきる切る斬るKILL!!!!来いよ来いよ来いったらあーはははは!!!!!」


おれの脚はひたすらに地を駆け、
おれの腕はひたすらに刀を振るい、
おれの目はひたすらに敵を見る。追う。喰う。喰らう。かっ喰らう。

指の先まで走る緊張、風の感触、血の感触、骨、悲鳴、臓器、武器、痛み、狂気、侠気、狂喜兇器驚喜、きょう、き。

「あはっ!」

たまらずに、わらいが、こぼれる。
(余りにうれしくてたのしくておいしくて、おもわず涎でも垂れそうで、おれはとても困る!)


雄叫びをあげながら突っ込んでくる、てき。
おれは二刀をくるんと回して右を一閃、左は背後に
(鈍い感触あったかい温度くぐもった悲鳴。)
目に染みるから噴出した血飛沫は被らないように、踏み出した足を軸にそのまま身体ごと回転させて、
胸の前に伸ばした二刀の柄を、かちりと合わせて一刀へ。
そしてそのまま突き出し
(鈍い感触あったかい温度くぐもった以下同文。)、走り出す。


ろくじゅういち、に、さーん…、次なんだっけ忘れたなあ、あーめんどくさいから、ぶっ飛んで、ひゃーく。

ひゃくにん。せんにん。
おれがきったら、

せんにん。まんにん。
まさむねは、うえにいく。

この世でおれができること。
この世でかれにできること。

それが、これ。
これだけ。
これだけしか、無い。
おれにはない。
こじゅうろうにも、つなもとにも、きたにも、そして、

まさむね、にも。


「あは、あはははあははははは!!!!!!!!」


たまらずにわらいがこぼれてしまう、
あまりにも、あまりにも、あまりにも、うれしくてたのしくておいしくて、


かなしくて。


おれたちは、みんなおんなじ蓮の上。
きれいな蓮の皿の上。

きれいに並んで、きれいに残さず仏様に食べてもらうんだ。
みんな、死んだ、ら。



だけど、
(だから、こそ、)



洗って、切って、刻んで、漬けて。
焼いて、炒めて、煮込んで、揚げて。



「あっはははは!!!!竜の牙に喰われたい奴はそこに並べ!!おれが残さず喰らってやんよ!!!!!」



きょうも、晴天。
おれはたのしく、りょうりする。







全てを、まさむねの皿に、並べる為に。








一蓮托生。
伊達成実。
竜の牙。

〜06,12,22