「おはよう、肆号。気分は如何だい?」
目を差す、ひかり。
耳に触れる、おと。
肌が感じる、くうき。
与えられる情報は大量で、
だが、それは世界のほんの一部に過ぎない。
そして、
漸く定まった視線を、その声へと合わせれば、
嬉しそうに微笑む、
鮮やかな紫。
そして、
小さな小さな、この世界、
それが私の、すべて、でした。
Project of black android.
The fourth story = ISUKA black.
Black HOPE birds.
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「博士の場所を突き止めたのか…?!」
俺の言葉に頷いて、
ソルはゆっくりと口を開く。
「そこで、新しい、黒い坊やに会った。」
全員の息を飲む音を聞きながら、
弟が席を立ちさえしながら、叫ぶように声をあげる。
「本当なの、それ!」
その震える紫の瞳に対して、
だがソルは視線だけで頷く。
「場所は?」
静かに問われたカイの言葉さえ、
やはりソルは溜め息交じりに、
椅子の背へ体重を預けながら、口を開いた。
「知ってどうする?」
だけど、
呆れたように落とされたその音は、
まるで既に、カイの意志はわかってしまっているかのようで。
そうして、
きれいな碧は、
いつものように真っ直ぐに、強いその色を湛えたまま、
ゆっくりと、言葉を紡いだ。
「彼を、止めたいんです。」
I hope only for one.
私が欲しいのは唯一つ。
I hope only for nothing but
one.
私が欲しいのは、唯、一つ。
「何のつもり…?」
静かにそう問えば、
だが、少し乱れた黒髪から覗いた真っ赤な瞳は、
頑なにこちらを見据えたまま、首を振るだけで。
「そこを、どきなよ。」
「嫌だ。」
ばちばちとはじけ始めた赤い電気が、
僕の握り締めた柄からも音を立て始めて。
「…斬られたいの?」
「兄さん、」
厳しげに眉を寄せながら、
だが、僕の前に腕を広げたまま動こうとしない、
弟の赤い目と、
同じ色をした僕の剣の刀身が、
煙を上げる。
「…どけと、言ってるんだよッ!!」
僕の足は、床を蹴っていた。
I hope only for one.
私が望むのは唯一つ。
To live together with you.
貴方と共に生きること。
貴方 と 共に 生きる こと。
Only it is my "HOPE".
「私を、独りにしないで、ください、」
途切れ途切れに溢された音は、なんと惨めで滑稽か。
私が生まれ、触れて、息をしてきたこの、小さな小さな世界を、
奪われてしまうなどということは、
あってはならない、
無くしてはならない、
わたしの、すべて。
「お前…!」
データでしか見たことはなかった、
初号機が声をあげて、足をとめる。
こちらを見て驚いた、
貳号機、參号機、…そしてオリジナルのその姿に、
私は何も言わず、ただ、剣を構えた。
希望などというものは、
人間たちが抱く、ただの無いもの強請りに過ぎない。
要するに、
私のような、作り物、には、縁の無いもの、なのでしょう。
私が、生きる、ちいさなせかい。
ただ、これだけが、
真実、なのだから。
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〜05,08,16