テラスから5人の背中を見送っていて、
思い出されるのは、
私の、幼い頃の、日々、だった。
ああ、
どこか夢か何かのようなそれは、
けれど、忘れたことのない、わたしの、望み。
何度も何度もページを繰ったその絵本。
“HOPE”とは、私にとって、夢想の産物であり、
その、ひとつ前に描かれた、
“HOME”とは、
私にとって、ただの冷たい“匣”に過ぎなかった。
けれど、
並んだその、四人、の背中が、
少し前を歩く、オリジナルへと駆け寄っていって。
そして、その一瞬に、足を止めた、
白銀の髪の末っ子は、
少しだけ迷ったようだったけれど、
一度もこの“家”を振り向かないで、いてくれた。
「希望を夢見た絶望たちの、行き着く先は…―――。」
さらさらと、
いつかのように私の髪を揺らすこの風は、
等しく揺らしてくれているんだ、
“ 家 ”へ 帰 る 、 あ の 子 た ち の 、 そ の 髪 も 。
〜05,08,21